公益社団法人 津法人会

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委員会活動

税制委員会

税制改正要望活動

平成29年11月29日(水)

 三藤税制委員長とともに地元選出の国会議員と三重県知事、三重県議会議長及び津市長、津市議会議長を訪問し、「平成30年度税制改正要望」に基づき要望活動を行いました。

衆議院 三重1区・自民党 田村 憲久 議員

三重県知事
鈴木 英敬 殿
三重県議会議長
舟橋 裕幸 殿
津市長
前葉 泰幸 殿
津市議会議長
田中 勝博 殿

平成29年度 税制改正要望全国大会
第34回法人会全国大会(福井大会)


平成29年10月4日(木)(於)福井県産業会館

 10月4日(木)福井県福井市の福井県産業会館で開催し、税制改正提言の報告が行われ、当会から4名が参加しました。

平成30年度税制改正スローガン

  • 厳しい財政状況を踏まえ、
    国・地方とも行財政改革の徹底を!
  • 超高齢化社会に対応した社会保障制度を
    構築するため、適正な負担と大胆な受益の抑制を!
  • 地域経済と雇用の担い手である中小企業に、
    税制措置でさらなる活力を!
  • 中小企業は地域経済の要。
    本格的な事業承継税制の創設により事業の継続を!

大会宣言

 われわれ法人会は、新公益法人等への移行を契機に制定した「理念」をもとに、「税のオピニオンリーダーたる経営者の団体」として、「税制改正の関する提言」や租税教育、企業の税務コンプライアンス向上に資する取組など、税を中心とする活動を積極的に展開しながら、広く社会へ貢献していくこととしている

 現在、わが国経済は、引き続き緩やかな回復基調にあるが、未だ「好循環サイクル」には至らず、依然として力強さを欠いている。さらに、世界経済においては、アメリカの保護主義的な動きなどにより主要国の政策協調に軋みが生ずるなど、急速に不確実性が増してきている。

 持続的で力強い成長サイクルを構築するためには、アベノミクスの柱である成長戦略において、大胆な規制改革を中心とした戦略の立て直しが必要である。また、国家的課題である財政健全化については、プライマリーバランスの黒字化に向け、規律ある具体的な道筋を明確に示し、着実に実行することが重要である。

 法人会が長年に亘り提言してきた「法人実効税率20%台」は実現したところであるが、真の経済再生のためには、地域経済と雇用を担う中小企業の力強い成長を促す税制の確立が不可欠である。われわれ法人会は、「中小企業の活性化に資する税制」、「本格的な事業承継税制の創設」等を中心とする「平成30年度税制改正に関する提言」の実現を強く求めるものである。

 創設以来、納税意識の高揚に努めてきた法人会は、ここ福井の地で全国の会員企業の総意として、以上宣言する。

平成29年10月5日
全国法人会総連合全国大会

平成30年度 税制改正に関する提言(要約)

〈基本的な課題〉

I 税・財政改革のあり方

 国と地方を合わせた長期債務残高がGDPのほぼ2倍の1,000兆円を超えた我が国の財政は、先進国の中で群を抜いて悪化したままである。行政サービスという国民の「受益」と、その財源を賄うべき税や社会保険料といった国民の「負担」のアンバランスが依然として解消されず、借金に頼ってきたからである。
 「中福祉・低負担」とされる構造から脱却できない社会保障分野は、それを象徴している。先進国で最速のスピードで進展する少子高齢化社会に対応するには、受益を大胆に抑制し、「負担」を必要な水準に引き上げて「中福祉・中負担」を目指す以外に、持続可能な社会保障制度と財政健全化を両立させるための現実的な方法はない。
 「社会保障と税の一体改革」はその一歩だったが、中身は大きく変質してしまった。「負担」にあたる消費税率10%への引き上げが2019年10月へ再延期される一方で、「受益」の方は重点化・効率化がなかなか進まないどころか、社会保障の充実を先行させているのが現状といえる。
 これは明らかに財政規律が緩んでいるからであろう。国家的課題である持続可能な社会保障制度と財政健全化の両立ができなければ、国民の将来不安を増幅し成長を阻害する要因ともなる。政府に求められるのは一刻も早く財政規律を立て直すことである。そして厳しい税財政改革を断行し将来に備えねばならない。

1.財政健全化に向けて

 政府の「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)は、財政健全化目標を変更した。これまでの「2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化し、その後、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる」から、2020年度PB黒字化を維持しつつ、「同時に債務残高対GDP比の引き下げを目指す」としたのである。財政健全化はフローとストック両面から進めねばならないから、PBと債務残高の改善を目標とするのは当然である。しかし、債務残高対GDP比の引き下げにPB黒字化と「同時」という文言が加わったことで、健全化目標は大きく変質したとされる。
 内閣府が本年7月に示した新たな「中長期の経済財政に関する試算」によると、PBは2020年度で8.2兆円の赤字が残り黒字化目標は絶望的である。一方の債務残高対GDP比は今年度の189.5%から179.3%へと低下していく。高い名目成長率の想定と異次元緩和持続による利払い費低下などを勘案すれば当然の帰結といえよう。すでに2018年度のPB赤字対GDP比1%程度という中間目標の達成は、消費税引き上げ再延期などにより不可能とみられており、今回の目標変更は2020年度目標未達成の批判を和らげる狙いとの指摘が多い。
 「債務残高対GDP比」は債務残高が増加しても名目成長率がそれより高ければ一時的に引き下がることから、歳出拡大圧力を誘引する側面もある。また、いずれ金融が引き締めに向かえば、現在と逆のパターンをたどり債務残高対GDP比が上昇に転じることに留意せねばならない。
 昨年度の国の税収は当初予算を大幅に下回ったうえ、前年度実績をも割り込んでおり、高成長を背景とした税の自然増収に頼る財政健全化計画は急速に説得力を失いつつある。真の財政健全化を達成するためにはPB黒字化に向け規律ある具体的な道筋を明確に示し、着実に実行することが重要である。

 
  1. 消費税率10%への引き上げは、財政健全化と社会保障の安定財源確保のために不可欠である。国民の将来不安を解消するために、「社会保障と税の一体改革」の原点に立ち返って、2019年10月の税率引き上げが確実に実施できるよう、経済環境の整備を進めていくことが重要である。
  2. 「骨太の方針2015」では、歳出面で2016年度から18年度までの3年間で政策経費の増加額を1.6兆円(社会保障費1.5兆円、その他0.1兆円)程度に抑制する目安を示した。この2年間におⅠ 税・財政改革のあり方平成30年度税制改正に関する提言(要約)<基本的な課題>10いては目安を達成していることから、最終年度においても政策経費の抑制は確実に行うべきである。
  3. 財政健全化は国家的課題であり、歳出、歳入の一体的改革によって進めることが重要である。歳入では安易に税の自然増収を前提とすることなく、また歳出については、聖域を設けずに分野別の具体的な削減の方策と工程表を明示し、着実に実行するよう求める。
  4. 消費税についてはこれまで主張してきたとおり、税率10%程度までは単一税率が望ましいが、政府は税率10%引き上げ時に軽減税率制度を導入する予定としている。仮に軽減税率制度を導入するのであれば、これによる減収分について安定的な恒久財源を確保するべきである。
  5. 国債の信認が揺らいだ場合、長期金利の急上昇など金融資本市場に多大な影響を与え、成長を阻害するうえ財政の悪化要因にもなる。政府・日銀には市場の動向を踏まえた細心の運営が求められる。
2.社会保障制度に対する基本的考え方

 社会保障分野では団塊の世代すべてが後期高齢者となる「2025年問題」がクローズアップされてきた。医療と介護の給付急増が見込まれるためで、これを「重点化・効率化」によって可能な限り抑制し、かつ適正な「負担」を確保していかなければ、社会保障制度が立ち行かなくなる。
 その意味で、診療報酬と介護報酬の同時改定の年となる来年度は、今後の給付抑制を占ううえでの試金石といえる。とりわけ、診療報酬は引き下げ要因をこれまで「薬価」のマイナス改定に依存してきただけに、医師の人件費にあたる「本体」にどう切り込むかが焦点となろう。
 社会保障と税の一体改革工程表との関係では、消費税引き上げが再延期される一方で、保育士や看護士の待遇改善などの充実策が先行実施された。これらの施策は少子化対策として必要不可欠ではあるが、安定財源の同時確保が何より重要である。また、「骨太の方針2017」が盛り込んだ「幼児教育・保育の早期無償化」に向け、その財源として検討対象となっている「子ども保険」の創設についても、慎重であるべきと考える。この種の財源としては税の方が妥当との意見や、保険料の負担面で世代間に不公平が生じるなどとの意見が強いからである。
 超高齢化社会が到来した今、社会保障は「公助」に多くを頼るのではなく「自助」「共助」の役割をどう組み合わせていくかが重要である。医療費・介護費の抑制につながるとして注目されている健康寿命の問題についても、こうした視点を踏まえた客観的なデータ分析に基づく実効性ある取り組みが求められる。

  1. 年金については、「マクロ経済スライドの厳格対応」「支給開始年齢の引き上げ」「高所得高齢者の基礎年金国庫負担相当分の年金給付削減」等、抜本的な施策を実施する。
  2. 医療については、成長分野と位置付け、大胆な規制改革を行う必要がある。給付の急増を抑制するために診療報酬(本体)体系を見直すとともに、薬価の実態を反映させるよう、2年に1度としてきた薬価の改定を毎年実施する。さらに、政府目標であるジェネリックの普及率80%以上も早期に達成する。
  3. 介護保険については、制度の持続性を高めるために真に介護が必要な者とそうでない者にメリハリをつけ、給付及び負担のあり方を見直す。
  4. 生活保護については、給付水準のあり方などを見直すとともに、不正受給の防止などさらなる厳格な運用が不可欠である。
  5. 少子化対策では、現金給付より保育所や学童保育等を整備するなどの現物給付に重点を置くべきである。その際、企業も積極的に子育て支援に関与できるよう、企業主導型保育事業のさらなる活用に向けて検討する。なお、子ども・子育て支援等の取り組みを着実に推進するためには安定財源を確保する必要がある。
  6. 企業の過度な保険料負担を抑え、経済成長を阻害しないような社会保障制度の確立が求められる。
3.行政改革の徹底

 財政健全化と社会保障の安定財源を確保するため、消費税引き上げが必要なことは指摘した通りである。しかし、増税が国民に痛みを求めるものであることも事実である。消費税引き上げの前提に「行革の徹底」があったのはこのためであり、改めてこうした経緯を想起する必要がある。
 行政改革を徹底するに当たっては、地方を含めた政府・議会が「まず隗より始めよ」の精神に基づき自ら身を削らなければならない。行革が遅々として進んでいないようにみえるのは、この精神を忘れているからであろう。
 衆議院では選挙制度改革をめぐり「1票の格差」是正を目的にした定数の見直しは行われたが、抜本的な議員定数削減には至っていない。税金が含まれている政治資金についても、不適切とされる支出が近年目立っている。国民の政治不信を払拭するためにも、政治資金規正法の見直しなどを行い、使途の適正化を図るべきである。
 もはや改革の先送りは許されない。以下の諸施策について、直ちに明確な期限と数値目標を定めて改革を断行するよう強く求める。

  1. 国・地方における議員定数の大胆な削減、歳費の抑制。
  2. 厳しい財政状況を踏まえ、国・地方公務員の人員削減と、能力を重視した賃金体系による人件費の抑制。
  3. 特別会計と独立行政法人の無駄の削減。
  4. 積極的な民間活力導入を行い成長につなげる。
4.消費税引き上げに伴う対応措置

 消費税率10%への引き上げと同時に低所得者対策として軽減税率が導入されることになっているが、10%程度までは単一税率が望ましいことを改めて表明しておきたい。これまでも指摘してきたように、軽減税率は事業者の事務負担が大きいうえ、税制の簡素化、税務執行コストおよび税収確保などの観点から極めて問題が多いからである。
 低所得者対策は現行の「簡素な給付措置」の見直しで対応するのが適当であり、インボイスについても単一税率であれば現行の「請求書等保存方式」で十分対応できるので、導入の必要はない。また、税率引き上げに向けては消費税制度の信頼性と有効性を確保する観点から、以下の対応措置が重要である。

  1. 現在施行されている「消費税転嫁対策特別措置法」の効果等を検証し、中小企業が適正に価格転嫁できるよう、さらに実効性の高い対策をとるべきである。
  2. 消費税の滞納防止は税率の引き上げに伴ってより重要な課題となる。消費税の制度、執行面においてさらなる対策を講じる必要がある。
5.マイナンバー制度について

 マイナンバー制度は運用段階に入ったが、依然として国民や事業者が正しく制度を理解しているとは言い難い。政府は引き続き、制度の意義等の周知に努め、その定着に向けて取り組んでいく必要がある。
 また、制度を有効に機能させるには国民の信頼が何より重要であることから、年金情報流出問題などを踏まえ、個人情報の漏洩、第三者の悪用を防ぐためのプライバシー保護など制度の適切な運用が担保される措置を講じるとともに、コスト意識を徹底することが重要である。国民の利便性を高める観点からは、e-TaxやeLTAXを利用した場合の申告納税手続きの簡素化や各種手当等の申請手続きの簡略化を図るべきである。
 今後は社会保障と税、災害対策となっている利用範囲をどこまで広げるかが大きな課題となるが、広範な国民的議論が必要である。

6.今後の税制改革のあり方

 今後の税制改革に当たっては、①経済の持続的成長と雇用の創出②少子高齢化や人口減少社会の急進展③グローバル競争とそれがもたらす所得格差など、経済社会の大きな構造変化④国際間の経済取引の増大や多様化、諸外国の租税政策等との国際的整合性――などにどう対応するかという視点等を踏まえ、税制全体を抜本的に見直していくことが重要な課題である。

II 経済活性化と中小企業対策

 我が国経済は緩やかな回復基調を続けている。しかし、長期にわたる異次元緩和にもかかわらず、デフレ脱却を意味するインフレ目標2%の達成は2019年度までさらに先送りされ、また国民の実質所得と個人消費や設備投資がつながる「好循環」サイクルにも至っていない。
 円安や減税などで企業の収益力は高まり業績は好調である。失業率は極めて低い水準で完全雇用状態が続いており、さまざまな業種で人手不足感が強まっている。しかし、賃金の上昇は期待を大きく下回り、多くは内部留保として積み上がっている。
 法人実効税率こそ「20%台」が実現したが、その成果は定かではない。肝心な規制改革では農業や医療、労働市場などの岩盤規制の核心には踏み込まないまま、働き方改革や人材投資・教育などのソフト面に重心を移している。新たな戦略として打ち出したAI(人工知能)やあらゆるものがネットにつながる「IoT」も、規制緩和が伴わなければ効果は減じられよう。
 明らかに成長戦略は減速している。アベノミクスの先導役を果たした異次元緩和も、副作用が指摘され始めるなど限界が近づいているといわれる。
持続的で力強い成長サイクルを構築するためには、大胆な規制改革を中心とした戦略の立て直しが必要である。そのためには地域経済と雇用を担う中小企業の活性化も不可欠であり、地方創生戦略との連携や税制面をはじめとした多角的な環境整備が求められる。\n

1.法人実効税率について

 法人実効税率は平成28年度税制改正で29.97%(平成30年度29.74%)となり、政府目標の「20%台」が実現した。このため、税率引き下げの条件となった賃金引き上げや対日投資促進などで、さらに明確な成果を引き出す方策が求められる。
 ただ、OECD加盟国の法人実効税率平均は約25%、アジア主要10カ国の平均は約22%となっており、我が国の税率水準は依然として高い。今般の税率引き下げの効果等を確認しつつ、国際競争力強化などの観点からさらなる引き下げも視野に入れる必要があろう。

2.中小企業の活性化に資する税制措置

 中小企業は我が国経済の礎であり、地域経済の担い手である。グローバル化など時代や環境の変化の中で中小企業が存在感を確保し、経済社会への貢献を続けられるような税制の確立が求められる。

  1. 中小法人に適用される軽減税率の特例15%を時限措置ではなく、本則化する。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。
  2. 租税特別措置については、税の公平性・簡素化の観点から、政策目的を達したものや適用件数の少ないものは廃止を含めて整理合理化を行う必要はあるが、中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置は、以下のとおり制度を拡充し、本則化すべきである。なお、少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の適用期限が平成30年3月末までとなっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。
    ①中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。
    ②少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、損金算入額の上限(合計300万円)を撤廃する。
3.事業承継税制の拡充

 我が国企業の大半を占める中小企業は、地域経済の活性化や雇用の確保などに大きく貢献しており、経済社会を支える基盤ともいえる。その中小企業が相続税の負担等により事業が継承できなくなれば、我が国経済社会の根幹が揺らぐことになる。先般、納税猶予制度の改正で要件緩和や手続きの簡素化などがなされたが、さらに抜本的な見直しが必要である。

  1. 事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設
     我が国の納税猶予制度は、欧州主要国と比較すると限定的な措置にとどまっており、欧州並みの本格的な事業承継税制が必要である。とくに、事業に資する相続については、事業従事を条件として他の一般財産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除する制度の創設が求められる。
  2. 相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実上述の本格的な事業承継税制が創設されるまでの間は、相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実を図ることを求める。
    ①株式総数上限(3分の2)の撤廃と相続税の納税猶予割合(80%)を100%に引き上げる。
    ②死亡時まで株式を所有しないと猶予税額が免除されない制度を、5年経過時点で免除する制度に改める。
    ③対象会社規模を拡大する。
III.地方のあり方

 地方の活性化には、国と地方の役割分担を見直し、財政や行政の効率化を図る地方分権化が基本政策といえよう。その際に不可欠な理念として掲げねばならないのは、地方の自立と自助の精神である。深化段階に入った地方創生戦略を推進するうえでも同じことがいえる。政府は「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」に基づき、地域の人材への投資を通じた地域の生産性向上や東京一極集中の是正を図ることなどを目指しているが、それには地方がそれぞれの特色と強みを生かし、新たな技術やビジネス手法を開発することが何より求められよう。その戦略構築には地域の産業実態に通じた民間の知恵・工夫の結集が欠かせない。ただ、地域活性化策として一部で評価されている「ふるさと納税制度」にみられる特産品の返礼品競争については、あまりに安易な手法であり本格的な地方活性化戦略につながるとは考えにくい。総務省が本年4月、過剰な返礼品に一定の制限を設けたのは当然の措置といえる。また、住民税は本来、居住自治体の会費であることから、この制度自体が地方税の原則にそぐわないとの指摘がある。例えば納税先を納税者の出身自治体に限定するなど「ふるさと納税」本来の趣旨に沿った見直しが必要であろう。
 財政調整基金など地方の基金残高総額が21兆円(27年度決算)に膨らんだことも、「地方は国の仕送り(地方交付税)を貯金している」として問題視されている。総務省では各地方公共団体の基金増加の背景や要因を把握・分析することにしているが、国のPBが大幅赤字で地方のそれが黒字という財政状況を考えれば、地方交付税総額の相応の削減は避けて通れまい。
 そもそも、地方交付税制度は国が地方の不足財源を保障する機能を有していることから地方の財政規律を歪めているとの指摘が多く、その改革が求められてきた。地方は必要な安定財源の確保や行政改革について、自らの責任で企画・立案し実行していくことが重要である。

  1. 地方創生では、さらなる税制上の施策による本社機能移転の促進、地元の特性に根差した技術の活用、地元大学との連携などによる技術集積づくりや人材育成等、実効性のある改革を大胆に行う必要がある。
  2. 広域行政による効率化の観点から道州制の導入について検討すべきである。基礎自治体(人口30万人程度)の拡充を図るため、さらなる市町村合併を推進し、合併メリットを追求する必要がある。
  3. 国に比べて身近で小規模な事業が多い地方の行財政改革には、「事業仕分け」のような民間のチェック機能を活かした手法が有効であり、各自治体で広く導入すべきである。
  4. 地方公務員給与は近年、国家公務員給与と比べたラスパイレス指数(全国平均ベース)が改善せずに高止まりしており、適正な水準に是正する必要がある。そのためには国家公務員に準拠するだけでなく、地域の民間企業の実態に準拠した給与体系に見直すことが重要である。
  5. 地方議会は、大胆にスリム化するとともに、より納税者の視点に立って行政に対するチェック機能を果たすべきである。また、高すぎる議員報酬の一層の削減と政務活動費の適正化を求める。行政委員会委員の報酬についても日当制を広く導入するなど見直すべきである。
IV.震災復興

 東日本大震災からの復興に向けて復興期間の後期である「復興・創生期間(平成28年度~32年度)」も2年目に入っているが、被災地の復興、産業の再生はいまだ道半ばである。今後の復興事業に当たってはこれまでの効果を十分に検証し、予算を適正かつ迅速に執行するとともに、原発事故への対応を含めて引き続き、適切な支援を行う必要がある。また、被災地における企業の定着、雇用確保を図る観点などから、実効性のある措置を講じるよう求める。
 また、昨年4月に起こった熊本地震についても、東日本大震災の対応などを踏まえ、適切な支援と実効性のある措置を講じ、被災地の確実な復旧・復興の実現等に向けて早急に取り組まねばならない。

V.その他

1.納税環境の整備
 行財政改革の推進と納税者の利便性向上、事務負担の軽減を図るため、国税と課税基準を同じくする法人の道府県民税、市町村民税、法人事業税の申告納税手続きにつき、地方消費税の執行と同様に、一層の合理化を図るべきである。

2.租税教育の充実
 税は国や地方が国民に供与する公共サービスの対価であり、国民全体で等しく負担する義務がある。また、税を適正に納め、税の使途についても厳しく監視することが重要である。しかしながら、税の意義や税が果たす役割を必ずしも国民が十分に理解しているとは言いがたい。学校教育はもとより、社会全体で租税教育に取り組み、納税意識の向上を図っていく必要がある。